アパレルECにとって、サイジングやフィッティングの問題は避けては通れない。
けれども逆に考えれば、このサイズ問題をクリアすればオンラインで服やシューズを購入するハードルはぐっと下がるはず。
そこで、今日は有効なサイズ問題へのソリューションを5つ紹介。導入の難易度は別として、Parisのおすすめ順!また、全部実践できたら最高!
1. 3Dスキャンによるサイズデータを使用
Me-Ality scannerは、3Dスキャンによって得られたサイズデータを元に、おすすめの商品を紹介するシステム。
photo by Mashable
カスタマーは”Me-Ality Size-Matching Station”(写真上)と呼ばれるスキャンマシーン入り、体のシルエットをスキャンすると、数秒でサイズデータを取得することがでる。そして、得られたサイズデータを元に、Me-Alityとパートナーシップを結んでいるブランドの商品の中から、ぴったりなサイズの商品の提案を受けることができる。現在は150以上のブランドと提携しているとのこと。現在米国内に多数のサイズ・マッチングステーションがあり、カスタマーは無料で使用することができる。
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また、カスタマーはMe-Alityにアカウントを開設すると、個人のサイズデータを保存しておくことができる。
将来的には、ソーシャルログインの様にMi-Alityアカウントで様々なECサイトにログインが可能になれば良いと思う。Me-Alityによって、自分のサイズの商品がサジェストされるようになれば、オンラインでショッピングをする際に、SサイズとMサイズの違いに迷う手間も省けるし、購入をためらいがちなボトムの購入も随分楽になるはず。
2. 体型に関する質問と、よく着るブランドからサイズを割り出す
米国発のブランド、Oscar de la Rentaは、”TRUE FIT“ というパーソナルなフィッティングデータに基づいたサイズ提案をするシステムを導入している。
ボディサイズと、普段着用しているブランドのサイズの情報を入力すると、ユーザーのサイズが割り出される。このデータを元に、ぴったりサイズの商品や、着た時のサイズ感を教えてくれる。
例えば、気になる商品を選ぶと、サイズはぴったりだけど胸周りはちょっとぴちで、ウエストまわりはちょっとゆるめ、のような具体的なサイズ感まで分かる。(写真下)
この個人のフィッティングデータは、Me-Alityと同じ様に、TRUE FITにアカウントを開設することで、保存することができる。よって、Oscar de la Rentaのみならず、TRUE FIT提携している他のサイトでもこの機能を使用することができる。今後提携パートナーが増えれば、カスタマーはもっとオンラインでのショッピングがしやすくなるでしょう。
3. 主要都市にショールームを設ける
試着をする目的は、単にサイズが合っているかを確認するだけではない。その服が自分に似合っているか、着心地はどんな感じか、シルエットはどんな感じかなどを確認する目的もある。特に、ファッション好きとなればなおさらだ。
そこで有効なのが、主要都市にショールームを設け、カスタマーが実際に商品を触って、試せるようにすること。
おしゃれメガネのスタートアップであるWarby Parkerは、店舗を持たずにオンライン販売からスタート。顔の形によって似合う・似合わないがはっきりと分かれるメガネは、試着が不可欠、もに関わらずにだ。
そこで、Warby Parkerは、Shop-in-shopという形で、LAやサンフランシスコ、マイアミといった主要都市のブティック内にショールームを設けている。
そして、さらに注目なのが、 ”Warby Parker Class Trip”と名付けられた、「移動図書館」ならぬ「移動ショールーム」を持っていること!”Warby Parker Class Trip”は、6ヶ月をかけて、アメリカの8つの主要都市をまわっていて、今どこにいるかは特設サイトから確認できる。
photo by Warby Parker
余談だけど、この移動式ショールームに使われているバスは、本物のスクールバスを4ヶ月もかけて改造したものなんだって!「大好きなプロフェッサーの書斎(favorite professor’s library)」をテーマにしていて、フルラインのWarby Parkarのメガネはもちろん、ヴィンテージの本や革張りのソファーまであるの!
そして、ただ各都市を回遊するだけでなく、その都市で出会った人とのエピソードをブログ形式配信しているのがとてもおもしろい!!
Warby Parkerと無理に関連付けるのではなく、本当にその土地で生活を送っている人を、美しい写真と共に紹介している。ただし、全員Warby Parkerのメガネをかけており、ブログの最後にはどの商品を着用しているかがこっそり記載されている。いわゆる、コンテンツマーケティングってやつ。お見事です!
4. 着用モデルの詳細な着用情報を提供する
英国初のメガECショップのAsosでは、フィッティングモデルのサイズとモデル着用サイズを記載している。
また、”CatWalk”といって、モデルがキャットウォークを歩く様子を動画で配信している。
写真ではわかりづらいシルエットや全体的な着た感じが分かるので、写真のみならず着用動画を公開するのはとても良いと思う。
5. Free shipping & Free return
送料&返品無料のサービズはもはや基本中の基本。
またまたAsosの例だと、購入金額に関わらず全世界送料&返品無料は、購入をかなり後押ししてくれる。通常のデリバリーでも約1週間で届くし、返品用の伝票も入っているので気軽に注文できる。
◆まとめ
カスタマーそれぞれが自分のサイズ・フィッティングデータを含むアカウント持ち、そのアカウントを使ってピッタリサイズの商品の提案を受けて、購入するというのが定石となる日もそう遠くはないでしょう。
そのためには、Me-AlityやTRUE FITといったサイズ・サジェスチョンサービスとブランドが提携を進めることが重要。
また、Me-AlityとTRUE FITなど、誰がサイズ・サジェスチョンサービスの主導権を握るか、という問題も発生する。よって、サイズ・サジェスチョンサービスはユーザーの獲得とブランドとのパートナーシップ締結に努めていく必要がある。逆に、facebookやtwitterの様に、ECのインフラとして確立することができれば、パートナー契約やソーシャルログイン機能の提供によって安定的に収益を上げることができるので、非常に注目なビジネスになりそう。
また、ECをオンラインだけで完結させないというのも重要なポイント。ファッション好きならば、触りたい!着てみたい!は自然な欲求だし、ファッション好きが必ずしもネットオタクで、全てのECサイトをチェックしているとは限らない。そこで、Warby Parkerの様にショールームを設け、カスタマーとリアルなタッチポイントを作ることは非常に重要。
上に挙げた様なサービスの導入はそう簡単ではないけど、モデルの着用情報を掲載するとか、送料&返品を無料にするくらいなら、すぐに実践できるはず。カスタマーが買い物に失敗した時のリスクと手間を極限にまで減らして上げることが、EC運営におおいて最低限求められるサービスだと思うよ。
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