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ファッションでSocial Good ー ファッションは世界を変えられるか?

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 Fashion Tech GirlのParis (@Japanese_paris)です。

今日のトピックテーマは、Social Good。Google Trendの情報によると2010年くらいから関心が高まってきたキーワードで、一言で表現するなら社会を良くするための取り組みと言うことができます。

Social Goodとは、INVESTOPEDIAによると、

A good or service that benefits the largest number of people in the largest possible way.

 

“可能な限り多くの方法でできるだけ多くの人にベネフィットをもたらすモノやサービス”と定義されています。

1971年に偉大なるコトラー先生が提唱した、「ソーシャル・マーケティング」というマーケティング手法を社会問題を解決するために使うマーケティングの考え方と非常に近いです。
ファッション分野のマーケティングやクリエイティビティを使えば、ファッションだって社会に貢献できるかも!って考える様になったのです。
そこで、今日はファッションが出来るsocial goodの形について考えてみます!

 

■ファッションの限界
ファッションの世界で働くことは私の幼いころからの夢だったのだけど、どうも最近、小さな世界で人とお金と物がくるくると回っている現状に、物足りなさを感じるようになってしまったの。

マリオ・テスティーノが撮り下ろしたとか、ケイト・モスがトップレスで表紙を飾ったとか、ファッションの世界の「中」の人にとっては大事件なのだけれど、「外」の人にとっては全く関係ないのよね。

(もちろん、彼の作品には何度も感銘を受けたし、ケイト・モスは何歳になっても私のスタイル・アイコンであることには代わりはない。決して、それぞれの存在や作品を否定している訳ではないので、あしからず!)

そんな悶々とした日々を送っていたある日、電通ソーシャル・デザイン・エンジン クリエーティブディレクター/コピーライターの並河進氏の「Communication Shift」という本の中に、ファッションが「外」の世界に影響を与えるためのヒントを見つたの!

 

 

■これからの広告の役割とファッションの関係

同書によると、お金とモノ・サービスの交換を促進することを目的にしていた今までの広告に対して、新しい広告の役割とは、「社会をより良くする!」という共通の目標を達成するために、モノ・サービス、お金はもちろん、アイディアや時間、知恵、さらには情熱やリーダシップなどを引きつけることだそう。

↓今までの広告の仕組み = 市場経済の中でお金とサービス・商品の交換を促すだけ
↓新しい広告の役割 =
社会をより良くするという目標を広め、目標に共感する一人一人が持つ資産を集め、形にするの促進する

 つまり、自分が持っている資産を提供し、それぞれの方法で社会をより良くするための活動に貢献することが出来る!ということなのです。知そして、ファッションもその例外ではありません。

 

 

■ファッションでsocial goodを実現する方法

  1. 行動そのものをファッショナブルに
  2. インフルエンサーが伝える、指針を示す
  3. 気分がアガるデザイン
  4. 不可能を可能にするウェアラブルデザイン

 

■ファッションが実現できるsocial good例

では具体的にどのようにファッションが社会に貢献できるか、その成功事例を紹介します。
《概要》
・「World Food Day(世界食糧デー)」にちなんだ飢餓撲滅のめたのキャンペーン
・キャンペーンのためにデザインされた、スペシャル・チャリティー・ウォッチ1本の売上に対し、100食分の食糧を提供
・Watch Hunger Stop Tシャツを配布、セレブもファンもSelfieを撮ることでキャンペーンに参加可能
 
正直、日常生活の中で世界の飢餓の現状について考えることなんてなかったし、World Food Dayなんてのが存在していたなんて知らなかった私ですが、instagramでフォローしている国内外のブロガーやエディターがこのTシャツを着用し、キャンペーンへのサポートを表明している様子が次々とフィードに流れてきたら、その実態を調べずにはいられなくなりました。
 自社製品のプロモーションのためにインフルエンサーに着せこんだり、商品を持たせてselifeを取らせるキャンペーンなんて腐るほどあるけど、World Food Dayの認知を上げ、飢餓撲滅のための資金を集めるという点に目的に据えていることが最大のポイント。
Volvicの「1L for 10L」キャンペーンに代表される様な、特定の商品を購入すると、その一部が寄付されるなど、商品の購入が社会貢献に結びつくことを謳ったコーズマーケティングはもはや一般化している中で、このWatch Hunger Stopキャンペーンが注目なのは、ソーシャルメディアを使って、より多くの人を巻き込むパワーを持っているという点。

1L for 10Lキャンペーンは、商品を買うことでしか消費者は貢献できないけど、Watch Hunger Stopキャンペーンでは、例え対象商品を買えなくても(お値段的にも全ての人が気軽に買えるものではないよね)、一般の消費者レベルで社会問題への意識を高めるという点において貢献することができるのです。

 

マスに対して社会の問題を広く知ってもらうことは(しかもファッショナブルな方法で)、世界中に顧客を持ち、セレブやファッションブロガーに愛され、また、デザイナー自身に発言力があるブランドだからこそできる、非常に有効なsocial goodのモデルケースだと思っています。

 

また、どうしても「まじめ」で「堅苦しく」、近寄りがたい社会問題への取り組みを、参加をすることをファッショナブルでクールなものにできるのは、ファッションこそが成せる業だと思うの!

 

 

2. 福祉 x FASHIONを実現、最高にファッショナブルな車いす「Taurs」と世界一ファッショナブルな義肢

《概要》

・ヤマハ発動機とSOMARTAのデザイナー廣川玉枝氏のコラボレーションによる、電動アシストの車いす「Taurs(タウラス)」を制作。
・着用者のアイデンティティを表現する義肢を作る「The Alternative Limb Project」

「福祉」という言葉を聞いてネガティブなイメージや近寄りがたさを抱いてしまうのは私だけではないはず。
最近、祖父母も介護が必要な年齢となり両親が苦労している姿を目の当たりにしている私にとっては、正面から向き合わなければならないと分かってはいつつも、目をつぶりたい問題の一つだったりする。
ただでさえ、近寄り難さやネガティブなイメージがある分野なのに、介護製品のデザインは決まって退屈。もちろん機能性を上げ、コストを下げることが最優先だということは理解しているけれども、「使う人の気分を上げる」ことは重要だと思うの。ココにこそ、ファッションが貢献できる可能性があるのです!
2014年11月12日から11月18日まで渋谷のヒカリエで開催されていた「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」に行ってみたの。目的は日本を代表するデザイナー廣川玉枝氏がデザインを手掛けたヤマハ発動機の電動アシスト車いす「Taurs(タウラス)」を自分の目で確かめるため。

会場には、言うまでもなくこのイベントの為に最先端たの福祉機器が集められていたのだけど、Taursはとりわけ異色を放っていました。

人間の体の形に沿った美しい曲線美に、SOMARTAのskinシリーズのボディースーツを思わせる繊細なパターンのエンボス加工がされた座席。シルバーや黒などいかにも工業製品らしい色合いの器具が並ぶなか、乳白色と淡いメタリックベースのボディーのタウラスはひときわ目立っていました。

また、ファッションは医療器具の分野においても貢献できる可能性があると思っています。
The Alternative Limb Project」という世界に一つだけのユニークな義肢提供することによって、着用者をエンパワーし、人間の体についてポジティブな対話を生み出すためのプロジェクトがあります。このプロジェクトでは着用者のイマジネーションを形にし、機能性のみならず自己表現のための手段としての義足を作っています。また、芸術家とのコラボレートも行なっており、その製品はまさに機能性を兼ね添えた身につけるアートとも言うことができます。
 snake arm created by Sophie de Oliveira
snake arm created by Sophie de Oliveira stereo leg, created by Sophie de Oliveira

stereo leg, created by Sophie de Oliveira

福祉社会の厳しい現状そのものを変える力はファッションにはないけれども、デザインによって人々の意識のハードルを下げることは可能だと思うの。

 

floral leg made by Sophie de Oliveira
Crystallized Leg created by Sophie de Oliveira made

また、身体を失ってしまった悲しみは癒えることはないかもしれないけれども、義肢であることを個性として受け入れ、また自己表現の方法としてポジティブに現実と向き合う手助けをファッションができたら素敵だと思っています。

 

3.不可能を可能にするウエアラブルデバイス

Fashion Techの分野で最もホットなトピックは、なんといってもウエアラブルデバイス。今世界を沸かしているウェアラブルデバイスのタイプを一言で表現するなら、「身につけられるパソコン」。運動量や心拍数など自分の活動のログが取れたり、メールを着信したら教えてくれるなど、もちろんあれば便利な機能であるけど、誰かの生活を劇的に改善する様な革命でははいと思っています。

正直私は、この様なウエアラブルデバイスにはそれほど興味はなく、不可能を可能にし、より良い世界を作るために、大きな変化を起こすことができるウエアラブルデバイスにはより大きな可能性を見出しています。

Murr-Maは世界初の水陸両用の義足で、陸から水中へシームレスに移動をすることを可能にした。さらに、世界一早く泳ぐと言われるseilfish (バショウカジキ)のヒレのデザインを取り入れ、健常者以上の水中パフォーマンスを実現させた。まさに、不可能を可能にしたウエアラブルデバイスだ。

 

*****

いかがでしたか?

ファッションは自己満足でしかないと揶揄されることも多いし、あながち間違いではなかったりものします。その一方で、ファッションがもつ影響力やデザイナーのクリエイティビティは、別の分野と融合させることによって、シナジーを生み出せると思っています。
これからもFashion Techはもちろん、ファッションを通して社会に対してプラスの影響を与える施策を考えて行きたいです。

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